症状別

16★外反母趾は女性だけの病気なの?


『なぜ外反母趾になるのでしょう』
と問われて、あなたはどう答えますか?


いろいろ意見が出そうですね。
でも、街で訊いたら、たぶん「ハイヒールを履くから!」と答える方が多数を占めるのではないでしょうか?

なるほど!と頷いたあなたにもうひとつ質問です。
『男性は外反母趾になりますか、なりませんか?』
どう答えますか?

男性も外反母趾になります

この答えにビックリされている方は意外と多いのではないかと思います。
それは、外反母趾になるのは、窮屈な靴を履いていたり、ハイヒールを履いていたりといったことが大きな原因だという理論がまかり通っているからです。
たしかに、ハイヒールなどが足への負担が大きいのは真実ですから、足の健康に不安のある方にはおすすめはしませんし、外反母趾をさらに悪化させる要因ではあります。しかし、ハイヒールを履いているから足がおかしくなったというものではないのです。
原因は明快です。
正しい足の使い方をしていないため、過剰回内を起こしているからなのです。

過剰回内とは

足の医療の先進国であるアメリカの足病医によって、外反母趾などの足のトラブルは過剰回内(オーバープロネイション)が要因となって発生していることが発表されて以来、今では、欧米ではその考え方が広く知られ認識されています。
過剰回内とは踵の骨が外方向にずれ、足首の内側が内方向に倒れている状態をいいます。
また過剰回内の状態の時は、つま先の向きよりも膝が内側に入っていることが多いです。
この過剰回内に足指を捻って蹴りだす動作(アブダクトリーツイスト)が加わり続けることで外反母趾が発生するのです。
つまり、外反母趾は無理な歩き方(足の使い方)が原因で引き起こされるということです。

なので、足の使い方が正しくなければ、男性でも外反母趾になってしいます

でもなぜ、男性の外反母趾をあまり耳にしないのでしょう?

はっきりとした理由はわかりませんが、男性のほうが筋力があるため、同じように無理な歩き方をしていても踵の骨がずれにくいため過剰回内の状態になりにくいということと、股関節が女性に比べて外に回っている(外股になっている)人が多いことで、膝が内側に捻じ込みづらくために過剰回内になりにくく、結果的に外反母趾という症状を表しにくいのではないかと考えられます。
あと、補足的には、やはり女性のほうがハイヒールだったり先細のものだったり、バリエーション豊かな靴を履きますから、外反母趾に限らず、痛みなどを感じやすくなっているのでしょう。

男性でも女性でも、外反母趾の時の症状は同じです

当院にも、人数は確かに多くないですが、男性の方がおみえになります。

男性は、「足の親指の付け根が痛い・親指が曲がっている。もしかして外反母趾?」そう悩んで来院されますが・・・

でも、

「外反母趾なんてハイヒールを履くからなるんだろ?」
「俺はずっとスポーツをしてきて、今もジムに通っていたりする健康的な人間だから、まさか外反母趾なんて」
「というか、そもそも男が外反母趾なんてなるものか」

と、実のところ考えていらっしゃいますから、半信半疑です。
しかし、実際当院で測定してみると、やはり外反母趾になっています。

写真の方も、お仕事はデスクワークですが、趣味で身体を動かしておられるそうです。
ご自分の足が「曲がっている・・・」と感じたけれど、外反母趾かどうかは自信が持てていませんでした。
それでも現在の状況をきちんとお話しして、しっかりとご理解いただけました。

外反母趾とは、親指の付け根(母指球といわれるあたり)が反対の足の方に張り出し、親指が小指側に入ってきている状態をいいます。
指の折れ曲がった角度により一般的に軽度・中度・重度と外反母趾の程度が決まるのですが、男性・女性により差はありません
また、痛みにも男性・女性で差はありません。痛みは角度の大小に関係なく、親指の角度はそれほどでなくても痛みを訴える方もおられますし、見た目にはかなり強い角度がついていても、痛みを感じない方もおられます。

外反母趾の状態の足は、複雑な構造の足の骨を支えている靭帯が緩んでいる状態なので、骨格的に大変不安定な状態にあるのです。
さらに、この状態の時は、土踏まずが下がり、指が浮いてきます。
そのため足元がふらついたり、つまずきやすかったり、冷えやむくみの症状が出たり、親指は痛くないのに全然別の場所、たとえば膝や股関節が痛くなることがあるのです。

人は2本の足で立ったり歩いたりしています。
ですから、その土台である足の不安定さというのは皆さんが思う以上に全身に影響を及ぼしやすいので、ここが不安定だとよい姿勢で立つことが難しく、身体がななめになります。
不安定な状況の中で、身体はどうにか懸命にバランスを取ろうとするのですが、その結果、背中が丸まったり(猫背)、腰を伸ばしすぎたり(反り腰)して逆に姿勢を崩してしまい、それが徐々に腰痛や肩こりといった症状に発展していくのです。

ストレートネック、巻き肩、猫背、腰痛、肩こり、頭痛。

それは毎日パソコンの前で仕事をしているだけの理由ではないかもしれませんよ?

ご自分を知る第一歩を

まずは、ご自分の足の状態を確認してみませんか?
もし、あなたが感じている症状が、あなたの足の使い方のせいであるのであれば、正しい足の使い方を身につけることで解消されるでしょう。

足を使うとは、立つこと、歩くことです。正しい足の使い方というのは、簡単に言うと「踵で立ち」「踵で歩く」ことです。

色々な痛みや歪みは、身体のバランスが崩れたことへの注意報です。

当院では正しい足の使い方を身につけることを治療の中心に行っています。
ただ、長年間違った足の使い方をしていると身体が歪んでしまい、正しく足が使えません。
さらに、長年の歪んだ骨格でそもそも、正常な動きができない方も多くおられます。
そのため、足を正常に機能させるための下準備が必要になります。
足の各関節を調整し正常な動きを取れるようにし、さらに骨格と筋肉を調整し、正しく足を使えるよう身体を整えてから正しい足の使い方を身に着けていきます。
正しい足の使い方をすると、その時点で痛みがなくなったり立った姿勢がよくなったことを実感できます。飲み込みの早い人では何回かの指導で習得できる方もいます。

今は何も悩みがなくても、身体に不具合が出てからでは大変です。
これからもバリバリと働くために、休日にはアクティブに楽しむために。
気になる足の歪みを修正しましょう!