症状別

12★湿布は効果なし…歩いたり走ったりすると、脛の前の内側が痛い!~シンスプリント

「ねぇねぇ、最近タイム落ちてない?」
ストップウォッチを覗き込んだマネージャーにそんな風に言われたR香さん。
もちろん自分でも気付いていましたが、他人に指摘されると焦りが湧きます。
R香さんは陸上部で中距離走選手として練習を続けています。
もうすぐ記録会があるので、部活の仲間と一緒に毎日頑張っているのですが、自分でもどうしたかと思うくらい記録が伸びません。

理由はわかっています。

最近、走ると脛(すね)の内側の下あたりが痛いのです。
最初は少し痛いだけでしたが、今では夜に眠れないほどに痛むこともあります。押してみると激痛が走りますが、骨折だとか肉離れだとか、そんな感じではありません。
原因は何だろうかと考えましたが、転んだり捻ったりもしていないし、他の人と比べてハードトレーニングをしているわけでもないのです。ストレッチ不足かもと考えて、入念にストレッチをしていますが、全く変化はありません。湿布を貼っても全く効果なしです。
同級生たちはR香さんと身体の大きさもさほど変わらないし運動量も同じくらい、なのに全然平気のようで、R香さんのように脛を気にしている素振りの仲間はいません。

私の足が弱いのか?
私の動きが下手だったり?
それとも、そもそも陸上競技に向いてないのか?
それよりなにより。

「・・・ずっと痛いし、タイムは悪いし。もうやめちゃおうかな・・・」

● 走ったり、ジャンプした後、脛の内側が痛い
● 脛の内側の真ん中から下に痛みがある
● 脛の内側を押すと痛みがある

このような症状があるとシンスプリントの可能性があります。

変な名前と思うかもしれません

シン(Shin)は脛のことで、スプリント(Sprint)は走るという意味です。
つまり、走ると脛が痛い疾患です。
シンスプリントは走る時などに脛の痛みが起こったり、ランニングやジャンプなどで脛の内側の下のほうに強い痛みを覚えたり、圧痛(押さえると痛い)を感じたりします。
陸上、バスケットボール、バレーボールなどの選手に多く、脛にある後脛骨筋という筋肉が脛の内側で炎症を起こしている症状をいいます。

悪化すると、骨の外側をおおっている膜まで傷つけてしまい、骨膜炎になってしまう可能性もあるので要注意です。
後脛骨筋は、膝の裏側くらいから脛の横を回り込んで足裏に行き、内側の足アーチ(土踏まず)を作り出す重要な筋肉です。
そのため、走り過ぎなどの使い過ぎが原因で発症するといわれています。

つまり、シンスプリントはスポーツをする人が激しいトレーニングや同じ動きを繰り返して、足に負担をかけることによって脛の内側の下のほうに痛みが出る疾患なのです。

または、足に合わない靴、踵が大きくすり減ったりクッションが悪い靴の使用や、筋肉の、特にふくらはぎの筋肉の柔軟性の低下などでも出るといわれています。
同じようにトレーニグしていても、痛くなってしまう人とそうでない人がいます。
その差は何でしょう。
実は、足の使い方に差があったのです。
シンスプリントの原因のひとつに、偏平足・回内足というのがあります。
偏平足とは、足の土踏まずがぺったんこの状態です。

では、回内足とは?

回内足とは、膝が爪先よりも内側にねじれ、踵が外に曲がっている状態をいいます。
後ろから見ると、アキレス腱が内向きにくの字に曲がっている状態です。
この状態がずっと続いていることを回内足または、オーバープロネーション(過剰回内)といいます。
この、回内という動き自体は、歩いている時、走る時、ジャンプするときなどには必要な動きで、土踏まずが下がり、足の骨が開き衝撃を吸収するという役割があります。

ただ、回内足や過剰回内を起こしていると、これがずっと続いている状態になっています。傾いた足になると、土踏まずが自然と下がり衝撃吸収の能力がなくなっているうえに、常にシンスプリントの原因となる後脛骨筋が引っ張られている状態になっています。

引っ張られ緊張状態にある筋肉に全体重がかかり、さらにランニングやジャンプの蹴りだしと着地の衝撃が加わるため、後脛骨筋には体重の何倍もの負担が加わってしまい炎症が起きてしまうのです。

そして、下がってしまっている土踏まずのために後脛骨筋がずっと引っ張られている状態なので、湿布などを貼ったとしても炎症は治まらず、ずっと痛いままになってしまいます。

つまり、足の使い過ぎや靴の問題は、これをさらに悪化させる要因でしかなく、根本の原因ではないということです。

この間違った使い方のままでは、脛の痛みだけでなく、将来的には足首、膝、股関節などの関節や筋肉などに過度の負担がかかり、肉離れや捻挫、疲労骨折などの他の怪我を誘発する恐れがあります。
そればかりか、このように傾いた不安定な足では身体をしっかり支えることも、強く蹴りだすこともできず、速く強く走ったり跳んだりできないためにスポーツのパフォーマンスも上がりません。

競技者にとっては致命的なことです。

スポーツは楽しいですが、普段しない動きや運動強度の問題があり、足の「いけない」癖が強く出がちになるために、シンスプリントのような形で身体の悲鳴が表面に現れやすくなってしまうのです。

痛みの根本原因を見つめましょう

ではどうすればよいか。
正しい足の使い方をすればよいということです。
そうすることで、少しでも早く足への負担が取りのぞけ、痛みから解放されます。

正しい足の使い方が身につけば、足の土踏まずが自然と上がり、骨の結合が丈夫になるので硬く強い足となり、脛の痛みも治まり、再発や他の怪我の予防になり、ひいてはパフォーマンスの向上も望めます。

せっかくのスポーツ、できれば痛みなんか感じないで楽しみたいですね?
痛みで好きなことを我慢だなんて、もったいない!

とはいえ痛いのは嫌だ・・・そうですよね、分かります。ならばすることはひとつです。
痛みを起こす根本原因―――間違った足の使い方―――を修正する、ということです!
これによって、あなたは痛みがなく好きなことが楽しめます!
もちろん正しい立ち方を会得したあなたのパフォーマンスは向上し、記録も上向きになること間違いなし。
そのうえ、正しい足の使い方を身に着けると、今出ている症状を軽くするだけではなく、肩こりや腰痛などの他の体の不調も軽減することが大いに期待できます。

正しい足の使い方とは、正しく立って正しく歩くことです。簡単に言うと「踵で立ち」「踵で歩く」ことです。
歩くことはあまりにも普通の行動すぎて、正しい・正しくないを考える機会がそもそもありませんね。
ですから、第三者の目が必要になります。
ご自分ではなかなかわかりづらいと思うので、この機会に一度当院でご確認してみてはいかがですか?
当院では、専門資格を持ったスタッフが状態を詳しくお伝えし、なぜそうなってしまっているのかを科学的にきちんとお伝えできます。

そうしてご納得いただいたうえで、正しい足の使い方を学び実践することを治療の中心にしています。