症状別

5★ひざが痛い~変形性膝関節症

E子さんは最近TVのCMを見て真剣に悩んでいます。
膝が痛いのに効果があるっていうサプリメントはいっぱいあるけれど、どれが一番効くのかしら・・・でも毎日飲むと思うと、結構高額。それに持病もあっていろいろお薬も飲んでいるから、病院から「勝手にサプリメントを飲まないでくださいね」と注意されているし、娘からは「お母さん、病院の薬も飲むのを忘れそうになるのに、サプリなんて途中でめんどくさくなって絶対飲み忘れるわよ!」なんて言われました。

● 膝の曲げ伸ばしが辛い
● 歩きはじめる時や動作を開始するときに膝がこわばったり、痛みを感じる
休めば痛みが楽になる。
● 椅子から立ち上げる際に膝が痛い
● 特に階段の昇り降りの時に強く痛む

そう、E子さんは膝が痛いのをどうにかしたいと思っています。
歳のせいなのは分かっているし、多少痛いけど歩けないほどじゃない。それでもやっぱり歩いている間中痛みが途切れないのはつらい。いったん休めば楽になるのだけれど、そうすると痛いのが怖くて最初の一歩が踏み出せない。

そんなことが続くと、どんどん外出が怖くなってきてしまい、最終的にはほとんど家から出なくなってしまいました。家にいても階段を使うのがおっくうで、最近2階にはほとんど上がらなくなっています。行動範囲の狭くなったE子さんの楽しみはTVになってしまいましたが、本当はもっと外に出てお友達とお茶をしたり旅に出たりしたいと思っています。

先延ばしにすれば関節の変形は進んでいきます

膝が痛いと立つ、歩くが臆病になる。
私たちは膝があることでスムーズに立ったり歩いたり座ったりすることができます。膝は日常生活において大きな役割を果たしていますので、膝が悪くなると起立や歩行に大きな影響を与えるため生活の質を著しく低下させます。

膝痛は4:1の比率で女性に多くみられ、主な症状は膝の痛みと水がたまることです。
初期では立ち上がりや歩きはじめなどの動作開始時に痛みがあり、休めば痛みが取れます。中期になると、膝の曲げ伸ばしや、立ち上がり、歩行時に常に痛みを感じ、階段の昇降や正座が困難になり、水がたまる、腫れるなどの症状が出てきます。末期になると安静時でも痛く、膝がピンと伸びず、膝の変形に伴い、太ももが外に捻じれ、脛が内に捻じれ、足首は内側に倒れ足元の不安定から足の指で踏ん張って立ち前傾姿勢になります。そこに膝の外側動揺(ラテラルスラスト※)が加わり、痛みと不安定さから徐々に歩行が困難になり、杖やシルバーカーなどの歩行補助具が必要になってきます。

痛みの出始めた膝関節の変形は、時間とともにどんどん進んでいきますので、できるだけ早く対処する必要があります。

※ラテラルスラスト
体重がかかった時に瞬間的に膝がガクンと外側に動く現象。この時に神経が集まっている関節包(膝を包んでいるもの)が繰り返し引っ張られて、さらに痛みが出ます。

原因は加齢による軟骨の老化?

膝関節は毎日体重の負荷を受けながら動かしているため、長年にわたって使っていると、軟骨が徐々にすり減ってきます。加齢に伴い軟骨も弾力性を失い、使い過ぎによってすり減り、そして関節の表面も凸凹になって滑らかに動かなくなり、生じた炎症が痛みを出します。
日本人は内側の軟骨ばかりが減ってしまい徐々にO脚になることが特徴です。
また、骨折や靭帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの後遺症として発症する場合もあります。これに肥満などで体重が増えてくるとさらに負荷がかかり悪化していくのです。膝には歩行時に体重の3倍の圧力がかかるといわれています(体重60キロなら180キロ)のですから、膝へかかる負担の大きさが相当であると理解していただけると思います。
しかし、年齢を重ねても膝痛の症状が出ない人もいます。
この違いは何でしょう。

それは膝の使い方に問題があるからです。
膝は前後の動きに対しては強く、捻じれる動きに対しては弱い構造になっています。この捻じれた状態で膝に負荷をかけていることが問題です。
ではなぜ膝が捻じれるのか?
膝の痛みに悩まされている多くの人に過剰回内(オーバープロネーション)が見られます。過剰回内とは踵の骨が外側に滑り足首が内側に倒れている状態のことです。この時多くの人がつま先より膝が内側に入っています。つまり膝が捻じれています。また、過剰回内の人の多くはつま先に荷重し前傾姿勢で歩きます。前傾姿勢で歩くと、出した足の上に身体がかぶさるようになり、次の足を出す際に、一度かぶさった体を膝を使って持ち上げてから出します。つまり通常の負荷にこれが加わり捻じれた膝にさらに負荷をかけていくことになります。

どうすれば痛みは改善されるの?

最初に思いつくのは、やっぱり軟骨成分のサプリメントを飲むことでしょうか。しかしサプリメントは成分にばらつきがあり個人差も大きく、満足がいかない方も多いのではないでしょうか。

また、それ以外の一般的な対処法としては、太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛える、正座を避ける、肥満であれば減量する、膝を冷やさず(クーラーなど)温めて血行を良くする、洋式トイレを使う等々が考えられます。
また病院では、痛み止めや湿布を処方し、溜まった水を抜き、ヒアルロン酸注射をするのが最初の処置です。それでもだめなら人工関節手術を勧められることもあるかもしれません。
整骨院や整体院では膝関節周りの筋肉を緩めたり、関節の動きをよくする手技など施術されるでしょう。
要は痛みを緩和することを目的としています。

痛みを取ることは大変重要です。痛くて歩けないのはつらいし困ることだからです。しかし、膝の痛みはそもそも、膝の不安定さからくるものです。いくら痛み止めの注射をして、一時的に痛みを緩和させても、間違った膝の使い方のままだとまたすぐに痛み出します

E子さんと同じお悩みをお持ちの方!

この膝の不安定さを治すためには正しい膝の使い方をすることが重要です。具体的に言えば、膝が捻じれないよう、立っている時、歩いている時の過剰回内の改善が必要です。さらに体が覆いかぶさらないように歩くことです。

でも、正しい足の使い方って言われても・・・そんなことでこの痛みがどうにかなるの?

足を使うとは、立つこと、歩くことです。正しい足の使い方というのは、簡単に言うと「踵で立ち」「踵で歩く」ことです。
正しい足の使い方をすると、症状が軽い人はこの時点で足や膝が軽く、痛みが軽減していることを実感していただけます。正しい足の使い方を身に着けると、症状を軽くするだけではなく、肩こりや腰痛などの他の体の不調も軽減していきます。
当院では、膝の安定性を確保し、本来の膝の機能を回復させることで、結果痛みがない膝になるということを目的としています。変形関節症が進み、軟骨がすり減ると残念ながらそれを元に戻すことはできません。ですから取り返しがつかなくなる前に、最初の一歩を踏み出すことが大事です。
膝の機能を取り戻し、痛みが出ない生活をし、生活の質の向上を目指しませんか。