足の親指の付け根が痛くて病院に行ったら、「強剛母趾」と言われたW雄さんは、初めて聞く病名に戸惑っています。
少し前から歩くときに親指の付け根付近が「痛いな」とは思っていましたが、営業の仕事をしているW雄さんは歩くのが仕事のようなもの、我慢して歩き続けていましたが、とうとう我慢できなくなったのです。しかも親指の付け根あたりが膨らんでる・・・?
びっくりしたW雄さん。
「外反母趾になっちゃった!え、外反母趾ってハイヒールのせいじゃないのか?」
W雄さんの履いているのは、普通のビジネスシューズですが、安物の靴ではなくそこそこきちんとしているものです。つま先もゆったりしていて締め付けられてもいません。それでも痛みと膨らんだ付け根に驚いて病院に行ってみたのです。
外反母趾は聞いたことがあるけれど、強剛母趾って何?
何だかキツネにつままれたみたいな気分です。
強剛母趾と判断されるのは、親指の付け根が痛いということ以外に以下のような症状がある場合です。
● 足の指が反る時に痛いから、歩くときに痛くて踏み返しができない
● だんだん親指が曲がりにくくなってきた
● 親指の付け根に硬い隆起物ができた
● 靴が履けない
● 立ってるだけでも痛い
このような症状が出てきます。でも横に曲がっていない。そうなると、外反母趾ではなくて別の病名がつくのです。
強剛拇趾って???
強剛母趾は、外反母趾や痛風などといった足の親指が痛くなる代表的な疾患の一つです。
変形性関節症の一種で外反母趾や痛風と間違いやすいのですが、外反母趾とは全く別の疾患です。
外反母趾と同じく、男女どちらでも症状が現れる可能性があります。
つま先立ちをしたり、親指を上に曲げると痛みが出ることが多く(下に曲げるほうが痛む例もあります)、親指の付け根の関節が少し動かしただけで痛み、立っていることさえ難しい状態になることもあります。
更に、外反母趾と併発することもあります。
足の親指の関節のかみ合わせが悪くて正しく踏み返せないことを制限母趾と言います。
最初はこの制限母趾から始まります。
この制限母趾の時に、少し痛みがあるだけだからと我慢して、無理やり曲げて踏み返して歩いていると、その無理な力が負担となって関節の軟骨が擦り減り、骨同士がこすれあって炎症を繰り返し関節が壊れていきます。
その状態が長く続くと、骨の周囲の組織が硬くなって、骨棘(こつきょく)というとげができて、これが関節にくさびを打つように大きくなって、指を動かすことが出来なくなってしまい、強剛母趾になります。
さらに、足の親指の付け根が出っ張り、靴に当たって痛くなることもあります。
なぜ強剛母趾になってしまうの?
原因としては、足の中足骨という、足の甲を形成している骨が極端に短い、または長い人や、何らかの原因で親指の関節を怪我した人といった場合にも起こりますが、それ以外では、過剰回内が原因で発症します。
外反母趾と併発することからも分かるようにその原因は同じであるということです。
つまり、足の使い方の癖により、足の親指の付け根に過度な負担をかけることで起きてしまいます。多くの場合その治療法として、底の固いインソールを作ったり、つま先が固い靴に変えたり、テーピングをしたりします。
どれも、「足の親指を反らすと痛いので、反らすことを制限する」方法です。これで歩行時の痛みを軽減するということです。
しかし、どれもあくまで負担を軽減して痛みを和らげるにすぎません。
特に、原因が過剰回内によるものの場合、親指の付け根に体重をかけて立ったり歩いてしまうという足の使い方の癖ですので、その癖を直して正しく足を使うようにすることが根本的な解決となります。
これを改善しない限り負担は積み重なっていき、痛みは悪化していくばかりです。
強剛母趾も外反母趾も、改善方法は同じです。
根本的に改善を目指すのならば、ぜひ『理にかなった足の正しい使い方、立ち方、歩き方』を身に着けることをお勧めいたします。
特に、制限母趾の段階で症状が軽ければ、足のアーチを整える正しい立ち方、歩き方を身に着けることで根本的に改善されていきます。
ですから、早めの手当てが重要なのです。
足は全体重を支える重要な部分です。ですからほんの少し痛いだけでもとても辛いものです。思いったったその時があなたの痛みから逃れるための転機になるのです。